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隠岐で楽しんだ花見

 四月といえば、桜が咲いている季節ではないでしょうか。隠岐の4島では、きれいな花を楽しめるスポットはたくさんありますが、満開になる短い時期にすべての島を回ることは難しいと思います。今回は、島前の3島で任用されている外国語指導助手(ALT)の3人に声をかけ、各島の花見スポットを1つ紹介して、花見の大切な思い出について話します。






 

 西ノ島町:由良比女神社

 リン(外国語指導助手【ALT】、アメリカ出身)

 初めて花見を経験したのは、日本に来てからです。その前には、アニメで花見とは何か知っていましたが、実際に経験したことはありませんでした。西ノ島町に移住してから初めての春が来た時、ついに花見を経験でき、桜の美しさに驚きました。


 西ノ島町において私の好きな花見スポットと言えば、由良比女神社(ゆらひめじんじゃ)です。浦郷港に位置しているこの神社は漁業と関係があります。花見をしに行った時、昼も夜もきれいな神社を囲んだ木に満開の桜を見ました。さらに夜の場合、ライトアップされていたので、いつまでも花見を楽しむことができました。桜が咲いていた由良比女神社は神秘的で美しく、普段と同じではない雰囲気に満ちていました。ちょうど花見の時期に由良比女神社で夜に開催した神楽を見に行って、その雰囲気に感動しました。


 神楽が開催された時に多くの地元の人たちが由良比女神社を訪れたが、私にとってそれは日本の他の場所で経験できなかった大切な花見でした。満開の桜に囲まれて、初めて神楽を見て、普段と同じではない雰囲気も実感できたからです。神様が宿るところにたどり着いたような感じがしました。日本で経験した初めての花見は特別な思い出になりました。



 海士町:隠岐神社

 マイケル(外国語指導助手【ALT】、トリニダード・トバゴ出身)

 花見って楽しそうだろうなぁと日本に来る前にも思っていました。写真やアニメの場面、テレビの番組にも満開の日本の桜を見たので、将来いつか、花見を実際にすることを楽しみにしていました。


 そこで、海士町にやって来ました。冬が行き去り、春が近づいてきたので、私の花見体験もそろそろだと思いました。やっと開花したのか?と期待しながら待ち、ついに満開の桜を見ることができました。


 初めて花見をした場所は隠岐ではありませんでした。しかし、隠岐で咲いている桜を初めて見たのは、海士町に帰っていた時でした。フェリーに乗った私は、花に彩った隠岐の山を見て驚きました。山に桜の木があることを初めて知ったからです。菱浦港から運転した時、道に沿って桜が並んでおり、建物の前や、学校の隣にも群がった美しい桜の木を観賞しました。


 また、隠岐神社の表参道に沿って咲いていた桜を見て驚きました。以前に隠岐神社にある木を何回か見たことがありますが、何の木か知らなかったので、桜だと分かりびっくりしました。その時から、車で隠岐神社を通り過ぎたときは、必ずスピードを落として、花を見るのを楽しみました。満開の桜がいつも目に留まりました。


 春休みに入って、家でゆっくりしていた時、隠岐神社の桜を近くから見に行こうと思いました。鳥居に到着して、両側にあった桜の木が目に入りました。表参道を進んで行って、満開の花と足元に落ちてきた花弁を見ました。息を飲むほど美しかったです。花弁を実際に触り、桜の匂いを嗅ぐことができてすごいと思いました。花見には野外の結婚披露宴のような雰囲気があるのではないかと思いました。その中で私はたくさん写真を撮って、家族と母国の友達に送りました。 


 昔はただ夢に見ていた花見を、来年にも経験することができ楽しみにしています。



 知夫村:天佐志比古命神社(一宮神社)

 ジャッキー(外国語指導助手【ALT】、アメリカ出身)

 今年にはいろいろあって、コロナ禍もまだ収束していないので、花見をゆっくり楽しむチャンスはないだろうと予想していました。人生の中で2回目の花見シーズンですが、咲いている桜を帰宅の時にしか観賞できなくても満足だと思っていました。


 それで、ある週末に、買い物のついでに桜の写真を撮ることを考えて、散歩に出ました。商店へ行った時、教え子のお母さんに遭遇して、家族の花見会に誘ってもらいました。知夫村の一宮神社へ行って、その前にたくさんの車が並んでいましたが、この花見会は桜の木の陰で行いました。サザエおにぎりや卵焼き(おいしい!)などをご馳走してもらい、できるかぎり家族の会話に対応しました。


 このように突然、家族の花見会に誘ってくれるのはとてもやさしいなと思いました。そして、知夫村で実際に花見を経験できてよかったです!



 隠岐の島町:世間桜

 イザベラ(国際交流員【CIR】、ポーランド出身)


 初めて隠岐の島町に来島した時から、西郷をはじめ、五箇や中村、町内のあちこちに花見をしに行きました。その中では最も印象的でずっと記憶に残っているのは世間桜(よのなかざくら)の満開の様子を見たことです。


 すでに知っている人がいるかもしれませんが、「世間桜」の名で呼ばれているのは、元屋地区にある「雄桜」と「雌桜」、巨大な老木2本です。双方はエドヒガン種の桜で、天然記念物として県の指定を受けた文化財です。昔々、人々は世間桜の咲いている状態によってその年の収穫を占い、開花について京都まで報告したらしいです。


 このような大事な桜をある晴れた四月の日に仕事の同僚と一緒に見に行きました。—とはいえ、世間桜までは散歩よりちょっとしたハイキングの方でした。世間桜は集落の中ではなく、山の中腹に生育しているからです。トレイルを進んで行くと、まずは建福寺という廃寺の史跡に寄ります。そこで息を入れて、またトレイルへ。まだ遠いかなと思って、足を一歩一歩出しました。それでちょうど汗をかいた時に、巨大な木が目に入ります。その満開の花を見たことは、坂を登ったことのご褒美みたいでした。


 有名な花見スポットながらも、世間桜は秘密の場所のようでした。なにか隠されている感じがすると、桜の天井の下でゆっくりしていた時に思いました。仕事の同僚に案内してもらって、とても嬉しかったです。開花した世間桜をぜひ、また見に行きたいと思います。

 

カバー写真:マイケル撮影

写真:①リン撮影、②マイケル撮影、③ジャッキー撮影

翻訳:イザベラ

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