日本の民族衣装と言えば、着物ではないでしょうか?確かに、着物には種類がいろいろあり、それぞれ別の場にふさわしいものがあるとされています。さらに、同じ種類のものにも多様な模様や地色を実際に見られます。それなのに、高級の振袖か中古品の浴衣か、どの着物の種類を見ても、「それは日本の民族衣装じゃないか」と何となく分かる人たちが多い気がします。
それに対しては、ポーランドの民族衣装と言えば...それはちょっと複雑です。なぜなら、それぞれの地域は他のところでは見られない模様や地色などのある独特な衣装を誇っているからです。言い換えれば、ポーランドでは全国を代表している一つの決まった衣装はなく、ある地域別で代表としている衣装が多いです。具体的に、どの地域ではどの衣装を自慢するか判別する専門家はもちろんいますが、ほとんどのポーランド人が簡単に見分けるのは以下の3つのものです。
ウォヴィチ地方の衣装
ポーランド中部にある、ワルシャワから90キロぐらい離れているウォヴィチ市は特に細かくて美しい切り絵で知られていますが、昔から伝わった民族衣装もこの地方の住民によって大事されています。個人的にも、ポーランドの様々な民俗衣装の中でウォヴィチ地方のものは最もきれいだと思います。
男性と女性、それぞれの衣装の特徴は縞模様と刺繍です。緑やオレンジ色、紫などの縞模様は男性のズボンと、女性が着用するスカートとエプロンを可愛く鮮やかにします。また、刺繍は男性も女性も着用する白いシャツの襟と袖口を飾ります。他には、この衣装の独特な点は頭に被るものです。クラウンの下にリボンが付けた黒い帽子は男性用です。女性は帽子ではなくて、スカープを被り、両方のこめかみに花を付けます。
クラクフ地方の衣装
ポーランド南部にあるクラクフ市は旧首都であり、歴史と文化も豊かです。そのことから、日本で言うと京都のように思われる都市です。クラクフの周辺に住んでいた農民たちが着用した衣装は全国的に最も知られているのではないかと思います。18世紀末にこの衣装が注目を集めて、19世紀にわたって他の地域のものにも影響を与えました。
男性と女性の衣装には共通の特徴があまりないと思います。男性の衣装の場合、クジャクの羽が付いている帽子と、白いシャツの上に着用する袖なしのカフタンは目に留まります。女性の衣装の場合、花の模様できれいに飾ったボディス、スカートの上に締めた白いエプロンと、赤いビーズのネックレスは特徴となります。
ポドハレ地方衣装
クラクフ地方から南方へ行けば、隣国のスロバキアとの国境周辺にポドハレという山岳地があります。ポーランド領土の9割である平地と全く違う風景に囲まれた地元の人たちは独特の文化を築きました。その文化の一つはポドハレ地方の衣装です。
特に男性の衣装には特徴が多いと思います。それに含まれているのは、貝がクラウンの下につけた黒い帽子、幅広い茶色のベルト、股上に刺繍が施してある白いズボンと、上着として着用するケープです。女性の衣装の場合、最も目に留まるのは、花模様に飾った白いスカーフと色鮮やかな裾の広いスカートです。男性と女性、双方は似ているような皮靴を履きますが、男性だけは「チュパガ」という斧付きの杖を持ちます。
筆者:イザベラ
写真:隠岐の島町職員撮影(カーバーの写真)、Wikimedia Commons(その他の写真)
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