毎年、11月29日の夕方にポーランド人は「アンジェイキ」(Andrzejki)と呼ばれる特別なお祝いをします。秋と冬の季節変わり目に当たるこのときは、ポーランド文化において未知なことを垣間見るのにふさわしいと思われているので、人々は将来を占います。
アンジェイキに将来を占う習慣は数百年の長い歴史があります。昔は、11月29日の夜に若い女性たちが集まって、結婚相手のことを色々な方法で占っていました。時代と共に、女性専用のようなアンジェイキのイメージは弱くなり、現在はどの年齢でも男女は恋愛のみに止まらず来年のことを占っています。
昔ながらのアンジェイキの習慣は今も非常に人気ですから、数多くある占いから自分の好きな占い方法の3つを紹介します。
蝋燭流し
間違いなく、最も代表的で、人気な占い方法はこれです。日本語でこのことについて調べてみると、「蝋燭占い」の言葉が出ると思いますが、この占い方法のポーランド語の名前(Lanie wosku)を直訳すれば「蝋燭流し」という意味になります。自分だけでもできることですが、友だちと一緒にするなら、さらに楽しくなります。
蝋燭流しには、 ・蝋燭(普通のキャンドルを溶かす) ・鍵(取っ手の部分に大きい穴があるタイプ) ・水を入れたバケツ を使います。民俗信仰によって鍵は将来の秘密を開けてくれるものですから、バケツの上に鍵を持って、鍵の穴を通して溶けた蝋燭をバケツの水に流し込みます。次に、水の中で固まった蝋燭を壁にかざして、影を写します。その形から、来年のことについていろいろな予想します。例えば、「この影の形は星じゃない?」と思った場合、「じゃ、来年天文学に興味を持つようになるだろう」というふうに、イマジネーションを生かして、将来における蝋燭の星の意味に自由に思いを馳せます。また、なかなか思いつかなければ、蝋燭が見せてくれた影の形の意味をグーグルで検索できます。
靴並べ
一人だけではなく、多くの人たちと一緒にやる遊びですので、アンジェイキのパーティーには欠かせないことです。
参加する人たちの全員が靴を脱いで、部屋の奥からドアまで順番で一つ一つの靴を並べます。全ての靴を並べてもドアに届かない場合、行列の後ろにある靴を先頭に移して、並べ続けます。それでドアに初めてたどり着く靴が優勝です。そして、その靴の持ち主については、「一番早く嫁に出るだろう」と昔は思われていましたが、現在は「来年運が一番よいだろう」と思われることも多い気がします。
リンゴの皮が表す一文字
リンゴの産地であるポーランドでは、この果物は当たり前と呼ばれるほどの日常食材です。そのため、伝統的な占いにも何らかの形で登場するなんて、さすがだと個人的に思います。
リンゴを用いた占いは、現在も恋愛関係との繋がりが強く、将来の結婚の相手のヒントを探すタイプの遊びです。まず、リンゴを持って、その皮を最後まで切らずにきれいに剥きます。このように剥いた皮を次に右手に持って、左肩越しに後ろに投げます。地面に落ちた後、リンゴの皮はどのような形になったかよく見て、その形はどのアルファベットの文字と似ているのか判断します。リンゴの皮が作った文字は、将来の結婚の相手の名前(名字ではなく)の最初の文字だと思われています。
最後に強調したいことが1つあります。アンジェイキの占いは、まじめに思われる占いではなく、何よりも楽しい遊びです。蝋燭の影やリンゴの皮に見たことが必ず来るよ!というわけではありません。占いの結果ではなく、将来の秘密を解いているときのワクワクする気持ちが、アンジェイキの楽しみです。
筆者:イザベラ
写真:イザベラ
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