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バルト海の宝物と言えば琥珀



 皆さん、琥珀(こはく)というものを知っていますか?または、実際に琥珀を見たことがありますか?鉱物そっくりの鉱物ではないこの珍しいものは、日本の中で一ヵ所しかとれませんので、あまり馴染みのないものかもしれませんが、大昔からポーランド人によって大事にされています。今回は、琥珀そのものやポーランドとのつながりについて紹介します。


 鉱物ではないとすれば何でしょう

 簡単に説明すれば、琥珀とは約4000万年前の植物の化石です。想像しにくいほど大昔のことですが、現在の北ヨーロッパにある広域では、広い針葉樹の森がありました。そしてその森で生えた木の特徴は、樹皮に傷がつくと樹脂が多めに流れるようになっています。この樹脂は数万年の間、どんどん固くなり、川に落ちれば現在のバルト海付近に流され、それを私たちは「琥珀」と呼ぶようになりました。

 琥珀は宝石とされています

 宝石とされている理由は、その見た目が鉱物の様でとてもきれいだからです。透明のある、ないものは両方あり、黄金から茶色までの色合いに加えて、たまに緑っぽいものも含む琥珀を見た人たちは、大昔(少なくとも6千年前)からバルト海岸で採取して、宝飾品に利用していました。

 現在も、ポーランドにあるお土産さんへ行けば、棚に琥珀の宝飾品が並んでいます。指輪などの身に着ける装飾はもちろん、いろいろな小物も提供されています。高いか安いかと言いますと、素朴なビーズのネックレスもあり、高級な芸術品もありますので、値段は商品次第です。


 ポーランドの地に豊富をもたらしました

 歴史の話に戻りますが、このように宝石と言われた琥珀は、時代とともに現在ポーランドなどのバルト海に面している地域だけではなく広く知られるようになり、古代ローマ帝国にも強く求められてきました。これらの需要に対応するよう、採取したところから南方へよく運ばれました。その結果、バルト海岸付近と南ヨーロッパを繋ぐ交易路を確保しました。そして、交易路に面している地域は琥珀関連の貿易を豊かにしました。現在にもいろいろなポーランドの都市は、この古代の歴史の始まりを「琥珀の道」と言っています。


 遠い過去教えてくれます

 色と透明度を問わず、特に注目を集めているのは、中に異物が入っている琥珀です。異物と言って、空気や一滴の水、ハエなどの小さな生き物も、大昔の木から流れ出したまだベタベタした樹脂に乱入して、とらわれているようになり、現在にいたって琥珀の中に見られるものになっています。それを科学的に分析すると、4000万年前の自然環境を知ることにいろいろな手がかりとなります。


 バルト海岸で休んだときの楽しみです

 最後になりますが、実際に誰でも琥珀をとってみることができます。何か準備する必要はありません。ポーランドの砂浜を普通に歩けば、あちらこちらで砂に埋もれている琥珀が目に入ることがあります。琥珀探しには、海が荒れた次の日は一番とされていますので、そのときに砂浜へ行けば、足元を普段より注意を払う人の姿がよく見られます。子どものときに毎年バルト海岸で夏休みを過ごした私は今も琥珀探しを懐かしく思います。

 遠い過去と現在を繋ぐ、大昔から大事にされている琥珀は、まるでバルト海の宝物の様です。もしいつか将来、ポーランドへ行くことになれば、バルト海岸の砂浜で探してみませんか?お土産としてもおすすめです!


筆者:イザベラ カバー写真と写真②:イザベラ撮影 写真①と③:Wikimedia Commons

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