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どこでも分かる紺と白 ~ボレスワヴィエツ陶器について~


 3年前のある日、隠岐に来たばかりの私は島内のギフトショップで買い物をしていました。商品棚に並んだ食器の中で、1つのモノに目が留まりました。ただのお皿でしたが、その模様や特殊な青の色合いを見て、「あの有名なポーランド製の陶器と似てない?」と思いました。…といっても、ポーランドから遠く離れている、日本海に浮かぶ島にもその陶器があるというわけではないだろう自分の目を疑いました。


 気になったので、チェックしようと思って、お皿を手に取り、その裏側を近くで見ると—

驚いたことに、このようなスタンプがありました。そのことから、目にしたものは本当にポーランド陶器であることが分かります。


 では、その「ポーランド陶器」はどのようなものなのでしょうか?


 私の母国では陶器を生産している箇所は色々ありますが、その中で最も代表的なのはボレスワヴィエツ市です。ポーランドの南部にあり、13世紀に成立したその都市は、質の高い粘土層に近く面していますので、昔から陶器に関して有名です。現在も、そちらの工房が作り出しているものは国内外広く注目を集めています。そのため、海外で「ポーランド陶器」または「ポーリッシュ・ポタリ―」として宣伝されているのは、十中八九ボレスワヴィエツ市の現地商品ではないだろうかと思います。


 どうしてそこまで注目を集めているか、その理由を探るには、作成手順がヒントとなるかもしれません。ボレスワヴィエツ陶器は手作りであり、真っ白の食器などに工房の職人さんたちがスポンジで作ったスタンプを用いて、絵付けをしています。その「スタンプの技法」は、ボレスワヴィエツ市で昔から伝わっている伝統的な絵付けの仕方です。これでできた模様は多様ですが、特に代表的なのは紺色の「ピーコックアイ」という、ポーランド人にクジャクの目玉を思わせる模様です。私も、ボレスワヴィエツ陶器と言えば、昔ながらの魅力にあふれており、紺色の目玉に飾った食器をイメージしています。このような点から、3年前のある日、島内のギフトショップで目にしたお皿は、ボレスワヴィエツ製のものであることが分かりました。


 ボレスワヴィエツ陶器はなかなか人気で、ポーランドを訪れている日本人の観光客の好みに合うことも以前から分かりましたが、「隠岐の島にもあるほど人気なんだ—!」と思いました。島内のギフトショップでその予期せぬ発見をきっかけに、ポーランドのものの良さを改めて分かりました。そして、ポーランドの雰囲気をもたらしたものに、隠岐にまだ慣れていなかった私の心は暖かくなりました。


※もしボレスワヴィエツ陶器の作り方に興味があれば、以下の動画(日本語字幕付き)はその作成手順を紹介しています:


筆者:イザベラ

写真:ボレスワヴィエツ陶器(イザベラ撮影)


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