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名前の日

 皆さんは誕生日のお祝いをしますか?「もちろん!」と答える人が多い気がしますが、日本でそういった習慣は昭和時代からであると言われています。20世紀までのポーランドにも個人の誕生日ではなく、その他のお祝いは行われていました。今回は、ポーランドで誕生日の代わりのお祝いについて話したいと思います。


 昔々、ポーランドでは個人が生まれた日よりも、個人の名前の方が大事にされていました。生年月日が記録された王子などの高い身分の人以外は、自分の誕生日が何日だったのか、詳しく知っている人は少なかったからです。そして、ポーランドではずっと大昔から人の名前は暦と深い関わりがありました。

2月11日は「Łazarz」と「Lucjan」の日

 名前と暦の繋がりは宗教に由来しています。カトリック教会では、一年間中それぞれの日に聖人(信仰に優れた信徒として崇敬される者)は割り当てられていますので、毎日は誰かの聖人のお祝い日になりました。どの日がどの聖人の祝い日か忘れないように、暦の中の日付に聖人の名前が記入されていました。そして、聖人と名前が同じ人は、宗教と関係なく、その日に個人的なお祝いをしました。このようにして、「名前の日」を祝う習慣が始まりました。


 「名前の日」って、初耳だと思う人が多いかもしれません。その祝いは、英語圏にも一切知られておらず、ヨーロッパの少数の国々だけにある習慣だからです。ポーランドでは、近代になってから誕生日の方が注目を集めるようになりましたが、その習慣はまだ残っています。ただ、名前の日の祝いについては考え方が色々あり、人によって違います。誕生日と名前の日両方を大事にしようとか、子どもは誕生日のパーティーを、大人は名前の日の祝いを、のように様々です。いずれにしても、ポーランド人は自分の「名前の日」の日付がすぐ分かります。ポーランドで出版されているカレンダーには、日付のそれぞれのマス目に色々な名前が書いてあるからです。


 ポーランドに残る、昔ながらの習慣もなかなか面白いでしょう?


筆者:イザベラ

写真:イザベラ(撮影)

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